USITの詳細

創造性工学研究所 代表取締役 三原 祐治
TRIZは今までの優れた特許をベースにして課題解決のアイデアを生み出す方法です。
創造性工学研究所は、TRIZおよびその実践手法USITの普及・利用を推進します。
                

USITのステップ

TRIZを実践的に進める方法であるUSITは下記フローチャートの順で進めます。
  1) 課題定義 :本当に解決すべき事(課題)を明確にします
  2) 問題分析 :現状と理想状態とのギャップを生み出しているキーワードを得ます
  3) 解決策の生成 :上記「キーワード」と「USITアイデア発想の視点(pdf:301KB)」から解決策を導きます。
  4) 優先順位の決定:多くの解決策に優先順位を付け開発のステップを作成します
 これらを表にまとめたものを以下に示します。 
開発計画の策定 優先順位の合意 解決策の組合せによる発想法 解決策の体系化による発想法 機能からの発想法 モノからの発想法 性質からの発想法 時間・空間特性の分析 理想モデル法 現行システム分析法 課題定義

★ USITの上記ステップのさらに詳細は以下を参照下さい

  → USIT Quick Guide(PDF:830KB)

USITの歴史

G.Altshullerの教えを受けた弟子たちが、1980年代に旧ソ連の崩壊前後に西側諸国に流出。その中で、イスラエルに行った Filkovsky が「SIT( Systematic Inventive Thinking )」を開発し、Kowalick によって改良された。

これをFord社のDr.Sickafusが更に企業内技術者むけに利用し易い形に改良を加えて「USIT (Unified Structured Inventive Thinking)」として確立。

TRIZの現代化(Contemporary TRIZ)の中で、USITは"TRIZを系統化"して、迅速・容易に実地適用できるようにしたもの。

USITの特徴

  • システム記述の概念が簡単・明快
    • 「モノ(構成因子)」「性質」「機能」の概念でシステムを考えます。
  • 複数のコンセプトを迅速に生成する。  そのために、
    • 問題分析の明確なプロセスを持つ :下記手順で問題分析
      1. 課題定義
      2. モノ(構成因子)/性質/機能 による分析
      3. 理想モデルによる分析
      4. 時間・空間の特性分析
      5. ここから問題を考え課題達成に必要な「キーワード」を得ます。
    • 問題解決技法を大幅に簡略化
      • 3種類の技法+体系化+組み合わせ
      • このために「アイデア発想の視点」が用意されています。
        上記の「キーワード」ごとに「USITアイデア発想の視点(pdf:301KB)」を用いてアイデアを出します。
    • ソフトツールを使わないでも問題解決ができる。
      • 技術者が容易に学習・記憶できる技法です。

USITの(企業での)使い方

  • 技術者がTRIZをマスターしていなくてもよい
  • 技術者とUSITエキスパートとが共同作業することでUSITの習得はTRIZよりはるかに容易
  • グループの共同作業に適している      
     異なる職場のメンバーでの議論がし易い方法
  • 直接問題を抱えている技術者に、別の技術者が入っていることが好ましい
     (1つの職場のみのメンバー構成では(思いこみ等で)視点が狭くなる恐れがあります)
 

USITの実際の進め方

TRIZを実践的に進める方法であるUSITは以下1~6のようなステップで進めます。
    参考・ USITフローチャート(全体像)はこちら → USIT フローチャート(全体像)(pdf:119KB)
       ・ USITアイデア発想の視点はこちら   → USITアイデア発想の視点(pdf:301KB)
    以上の2つの表を参照しながら、以下のステップで作業します。
1.課題定義
  目的:「問題」を明確にして、本当に達成すべき「課題」をステートメント化して、
      それをメンバー間で合意する。
      ・既存技術や保有リソースの制約を除外して、自由に考える
      ・コストや納期等は、「6章 アイデア評価」で考える。
  作業手順
    1-1. 問題状況を説明する
    1-2. 問題状況を図解する
    1-3. 仮課題を設定する
    1-4. 対象とする構成要素(モノ)を選定する
    1-5. 中核原因<原因の種>の推定と、検討すべき議論の範囲を決定する
    1-6. 中核課題のステートメントを作成する

2.現行システム分析
  目的:モノ(構成因子)/性質/機能 による分析
  作業手順
    2-1. 現行システムのダイヤグラム(中核課題モデル)を作成する
    2-2. モノ(構成要素)の性質を列挙する
    2-3. 定性変化表を作成する
    (現行システムでの状況に関するキーワードを得る)

3.理想モデルによる分析
  目的:「現状の問題」から考えるのではなく、
     理想的な姿(あるべき姿、ありたい状況)を先ず考える。
  作業手順
    3-1. 問題状況と理想解をスケッチする。
       理想的な状況(最終理想解が描ければ書く
    3-2. 問題の起こっている場所にParticlesを配置・適用し、
       Particlesに問題を解決させる。
       (Particles:何でも出来る/どこにでも入り込める/どのような命令も
        忠実に実行してくれる極々微小で超便利な仮想のスーパーマン)
    3-3. Particlesにやってもらいたい行動と性質のダイヤグラムを作成する。
    3-4. 上記のParticlesの行動に関係するキーワードを出す。

4.時間・空間の特性分析
  目的:・問題が起こる(起こっている)タイミングや場所を知り、
      改良策を働かせるタイミング/場所を考える。
     ・対象システムの中で起きている現象を正しく理解する。
     ・機能を時間的変化と空間的分布の視点からダイナミックに捉え、
      最も機能を達成しやすいタイミングや場所の条件をつかみ、解決の方向を見出す。
     ・TRIZの「物理的矛盾」の観点に対応し、分離原理へ導く。
  作業手順
    4-1. 時間・空間分析因子を検討する
    4-2. 時間的特性を分析する
    4-3. 空間的特性を分析する

5.解決策生成
  目的:・従来の技術的手段や現状のモノに囚われない、
       アイデア発想の視点の「モノからの発想法」、
       「性質からの発想法」、「機能からの発想法」に基づいて
       中核原因の対処策(即ち、中核課題達成のための方策)を導き出す。
     ・更に、この解決策を体系化して抜け・もれ・落ちを防ぎ、
      また解決策を組み合わせることで更に強力なアイデアに仕立て上げる。
     ・技術的な用語や概念を総称的な用語や概念で置き換えて、
      「曖昧性」を許すことにより広がった解決策空間からの解決策を導き出す。
  作業手順
    現行システム分析 & 3の理想モデル法分析から得られたキーワードを用いて、
    それを「USITアイデア発想の視点(pdf:301KB)」の下記項目と重ねてアイデアを出す。
    5-1. 「性質からの発想法」を使ってアイデアを出す
    5-2. 「モノからの発想法」を使ってアイデアを出す
    5-3. 「機能からの発想法」を使ってアイデアを出す
    5-4. 「解決策の体系化による発想法」を使ってアイデアを体系化し膨らませる
    5-5. 「解決策組み合わせによる発想法」を使ってアイデアをさらに膨らませる

6. アイデアの評価
  目的:・アイデアを評価し、上位5つのアイデアを決定する。
      ・複数アイデアの報告書を作成する。
  作業手順:
    6-1. 評価項目を決定する
    6-2. アイデアを評価する
    6-3. アイデアの実行計画を立てる